0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

信じられますか? 敗者が、勝者をかばうなんて。

一枚の風信子23


そのメークドラマは、手に汗を握る死闘のあとに起きた。
わずか0.099 ポイントの差で明暗を分けた両者が、それぞれの記者会見に臨んだ時のこと。


逆転を決めた最終種目の鉄棒の採点について、「審判が内村に親近感のようなものを感じ、高い得点が出たと考えているか」という質問を内村にした。すると、別の質問に答えていたベルニャエフがわざわざ、「その質問だけど、いったん得点が出ればそれは公平なものだし、内村は過去に今回よりももっと高い得点を取っている。だからそういう質問は無駄だと思う」と話した。


なんというセリフだろう。敗者にして、この思いやり、このフェアな精神、この誇り高さ…。僅差で負けて、悔しくないはずがない。審判に文句のひとつをもらしたって、不思議じゃない。それを、「無意味な質問をするな」と逆に諌めたのである。ただもう立派と、感嘆するしかない。


「いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあう」のがオリンピック精神というが、それが決して名ばかりでないことを、弱冠22歳のこの若者が証明してくれた。


「尊敬される人と尊敬されるべき人」を、一枚パチリ。



軒裏に 往時も鳴くや せみ時雨

一枚の風信子22


おとなりの国立市に、「城山(じょうやま)公園」という散策スポットがある。武蔵野の自然を色濃く残す起伏に富んだエリアで、ちょっとした森林浴を楽しめる。また、紅葉の名所でもある。その一角に、昔ながらの佇まいを伝える、藁葺きの古民家「柳澤家」がある。この古民家は、江戸時代から使われていた農家を移築し、復元したもの。もとは、甲州街道沿いの青柳村(現国立市青柳)に建てられていたもので、当時としては典型的な家屋だったという。
散策コースに指定されている割には、見学者の数はそれほど多くはない。ひまわり畑の向こうに広がるのどかな風景は、ぼくたちの心をときほぐし、当時ののどかな暮らしぶりをほうふつとさせてくれる。盛夏のまっただ中、ぼくを出迎えてくれたのは「せみ時雨」のファンファーレ。玄関から土間を通り、勝手口を抜けて竹林のある裏庭へ。さわやかな緑陰に身をまかせ、土のにおいを呼吸しながらしばし、「ああ、日本人だな」としみじみ思った。


「往時さながらの佇まい」をモノクロで、一枚パチリ。


今のキミも、ピカピカに光って。あきれかえるほど素敵。

一枚の風信子21


このトレーナー、ポロラルフローレンのジャパン・ライセンス製品。吉祥寺パルコがオープンして4、5年後に購入したものだから、今年で30年を超える。値段はちょうど1万円。当時、チャンピオンやナイキなどは1,000~3,000円程度で買えたから、かなり高め。だけど、けた違いに丈夫。前述のスポーツメーカー品はだいたい5年くらいでオシャカ。首まわりがゆるゆるになるか、ほつれるかで、みっともなくて着られなくなってしまうのだ。ところがこの商品、写真でお分かりのようにいまでも新品同様。汚れも、見た目にはほとんどない。このまま、店先に並べてもいいくらいの状態を維持している。押入れに大事にしまっておいたわけじゃない。着用は年数回と少なくとも、シーズンオフには毎年のように洗濯もしている。
「デザインがダサい」とか「値段が高い」とか「類似品が多い」などかんばしくない評価もあるメーカーだが、買う品を誤らなければ、結局はお得じゃないかと思う。ちなみに、2,980円で購入した同社のTシャツは、なんと34年間の酷使に耐えてくれた。


冒頭の見出しは、同時代に流行っていたミノルタのCM(宮崎美子出演)から、そのセリフを借用したもの。あの頃女子大生だった彼女も、今年57歳になるという。


「年齢を感じさせないトレーナー」を、一枚パチリ。