0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

軒裏に 往時も鳴くや せみ時雨

一枚の風信子22


おとなりの国立市に、「城山(じょうやま)公園」という散策スポットがある。武蔵野の自然を色濃く残す起伏に富んだエリアで、ちょっとした森林浴を楽しめる。また、紅葉の名所でもある。その一角に、昔ながらの佇まいを伝える、藁葺きの古民家「柳澤家」がある。この古民家は、江戸時代から使われていた農家を移築し、復元したもの。もとは、甲州街道沿いの青柳村(現国立市青柳)に建てられていたもので、当時としては典型的な家屋だったという。
散策コースに指定されている割には、見学者の数はそれほど多くはない。ひまわり畑の向こうに広がるのどかな風景は、ぼくたちの心をときほぐし、当時ののどかな暮らしぶりをほうふつとさせてくれる。盛夏のまっただ中、ぼくを出迎えてくれたのは「せみ時雨」のファンファーレ。玄関から土間を通り、勝手口を抜けて竹林のある裏庭へ。さわやかな緑陰に身をまかせ、土のにおいを呼吸しながらしばし、「ああ、日本人だな」としみじみ思った。


「往時さながらの佇まい」をモノクロで、一枚パチリ。