0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

文学に興味を持つ鳥を、文鳥と呼ぶ。

一枚の風信子196


わが家の小鳥は、珍しいことに文学をこよなく愛しているらしい。なぜなら、まるでお気に入りの止まり木のように、眼を覚ますとすぐに本のそばを離れようとしないからだ。どうやら、ここがいちばんのお気に入りみたいである。その証拠に読書家がページをめくろうとするたびに、猛烈なクチバシ攻撃を、その指先に加えてきて決してゆるめることを知らない。文学(本)の頂点にすくっと仁王立つその姿は、ヒーローのごとく颯爽として凛々しく、かつ他者の追随(ちょっかい)を許すことがない。
読書家は、ただただじっと我慢の子。お世辞交じりの賛嘆の口笛もらすと、それに呼応して、ピピーィ!と雄たけびを上げる。とても、次のページへ進めない。読書が進まない。読書をあきらめる。待っていましたとばかりに、突然文学から目覚めた文鳥はお隣りの部屋に移動し、ご機嫌で朝の食事にさっさととりかかる。無視された読書家は、もう読書を始める気になれない。で、読書家は文学を愛する鳥に言う。「君が本を好きなのはよく分かったよ。ただね、君といるといつまでたっても本が読み終わらないんだけど…」
結局、世の中には、いいことばかりがあるわけじゃないってことを言いたいのかね。


文学の頂点に君臨するわが家の文鳥を、一枚パチリ。