0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

ありふれたものが、新鮮に見える時。

一枚の風信子138


灰色の世界にも、命はある。
写真は、立川通りとJR線が交差するアンダーパスを歩道から見上げたもの。駅へ行くいつもの道の途中にある、都市ではありふれた景色だ。ただのコンクリートの高い壁に過ぎないんだけど、それがある日のこと羽音に気づいて見上げたら、つたの紅葉がわずかに残る壁の上にハトがズラリと並んでいる。「へえ~」と立ち止まり、思わずシャッターを押してしまった。いつも季節感の全くないコンクリートジャングルのこんなところにも、命はあるんだな。初冬の快晴の都市に、ほんの少しだけれど彩りを添えてくれるものを見つけて、どこか心なごむのを感じた。「生き物を感じるというだけで、やすらぎを覚える」…年齢を重ねるということは、孤独の寂しさを知るだけではない。常日頃から、目を向けるものや出会うもののひとつひとつを大切にし、感謝することが自然にできたらと思う。
先を競うように、急ぎ足で行くことが現代の若者の特権と譲っても、高齢者にはまた別の歩き方があっていいさ。「日常を愛する」ことの大事を、あの芥川龍之介も「朱儒の言葉」で説いている。


いつもの道に、違う景色を見て、一枚パチリ。