一枚の風信子81

大手企業の不祥事が続いている。VWと三菱自動車のデータ捏造問題などは、どう考えても企業ぐるみの犯罪である。そこにいるのは、良識ある人々とは言えない。では、悪人かというとそうでもない。なのに、なぜこんな不正ができるのか？簡単さ。大きくなるほど、企業は人ではなくなるんだ。利益追求が第一義の団体になる。儲からなければ、つぶれてしまうからである。個人で悪いことをすれば刑務所行きになるけれど、企業でやれば罪は企業全体にかかるから、その分、犯罪意識も軽減されることになる。まさに、北野たけしがツービート時代に言い放った「赤信号、みんなで渡れば怖くない」状況にはまり込んでしまうんだ。
雪印乳業が1,480人もの中毒患者を出したとき、大手企業系列の若手社員が、私に説いて聞かせるように言った。「濡れ衣だ。大手が絶対こんなことをするはずがない。すれば、大きな社会的制裁を受けることになるから」。だから、会社ぐるみのごまかしはしないのだと。
だけど、やったね。
やっても分からないだろうと思えば、やるんです。バレたって、企業が批判されるだけで、自分の首が飛ぶわけじゃないときは、特にね。かつて「企業は人なり」と大見得をきった松下幸之助さん、そういう時代になっているんですよ。

ビジネスビルを背景に、赤信号を一枚パチリ。