一枚の風信子73

娘の誕生日に、父親は家族を連れて中華料理店に行く。ただ勝手に行くのである。食事を終えて、料理店の外に出て「寒い」と思わずつぶやいた。すると、父親は一変し、感謝の言葉がないことに怒る。その怒りは、娘だけでなく母親にも、娘の兄弟にも及ぶ。その後は、ますます理不尽な仕打ちが拡大していく…。〈阿川佐和子著「強父論」〉

おやおや、言っちゃ悪いけど、それってただの「自分勝手で横暴な親父」じゃないの。ウチのアル中親父なんか、もっと筋金入りさ。他人の悪口を肴に、自慢調味料をしこたま振りかけて、毎晩酒を呷るんだぜ。文句なんて可愛いものさ。怒鳴り声が普通の声。なんかひとこと言い返しでもしたら、その晩はもう荒れ狂いの暴れ放題。で、翌朝は、ケロっとしてお仕事へ。帰宅したら、また前夜の繰り返し。それでいて、気が小さく見栄っ張りだから、世間体はつくろうものの、すぐに地がバレて周りから相手にされなくなる。相手にできるのは自分より弱者、つまり自分が養っている者だけとなる。
これで、家庭と言えるのかね。これで、親と言えるのかね。

「家庭という病気」なんて本も話題になっているけど、
「家庭という狂気」だってあることも言っておきたいね。

「あんたは家庭を持つべきじゃなかったよ」と、一枚パチリ。