一枚の風信子64

団塊の世代にとって、アメリカは常に輝くマスト、希望の星だった。もう昔のことだが、大学最終年に最後の夏休みを記念して、中学高校時代の学年同窓会を校庭で開くことになった。発案者でもある私は、必要品の交渉も担当した。特に欠かせないのがビールとコーラ。校舎の丘下にあるキリン麦酒の工場の異臭に悩まされていたこともあって、それを匂わせると、しぶしぶだったがビールは少しまけてくれた。驚いたのはコカコーラ。東京支社を訪れると実に丁重な対応を受け、コーラは定価の３割引のうえ、予定人数に合わせてテーブルやイス、日除けパラソルまで無料で貸すと言ってくれた。もちろんコップやコースター、灰皿も込みで。こうした備品は、学校側が貸し出しを渋っていたので、まさに渡りに船だった。
さらにもう一度、同窓会当日に大きなサプライズが待っていた。
開催1時間前くらいに、派手なコーラマーク入りの屋根付きトラックで乗り付けてきたかと思うと、ひとことふたことの打ち合わせで、サービス員がさっと手際よく配置までしてくれたのだ。パラソル付きの丸テーブルが20台、イス80脚のパーティ会場があっという間にでき上がった。キリンもコカコーラも同じ飲料会社なのに、この対応の温度差はいったい何なのだろう?
「やっぱり、アメリカは凄いや」と、ほとほと感じたね。

ミッキーとコカコーラの75周年記念ジグソーパズルを、一枚パチリ。