0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

美人薄命とは、キミのための言葉だよ。

一枚の風信子56


正式の名を、「月晃(つきひかり) たんぽぽ」という。
月光のなかでも光り輝いて見える、カナリアン・イエローの美しい肢体と、宝石のルビーにも似た赤い眼の持ち主で、ひと目ぼれだった。ヒナの時からスリ餌で育てて、家人にもよくなついていた。大人しく控えめな優しい心根の娘で、同居家族の「ぴょこたん」(ジャンガリアン・ハムスター)とも仲良しだった。「ポピー」と呼ぶと、必ず可愛い声で「ポッピー」と答えを返し、トットットと急ぎ足で擦り寄り、私の手のひらにちょこんと乗ってきたものだ。誰にも愛されていたのだ。それなのに、天は二物を与えてくれなかった。美人薄命の言葉をそのまま表したように、身体が弱すぎたのである。神様は、彼女に3ケ月の寿命しか与えてくれなかった。或る寒い朝、起きて見たらもうその時は、息をしていなかった。
みんなに愛されるものは、それだけ愛するものの悲しみを、より深くするものと思い知らされた。確かに、歳月は心の痛みを和らげてくれはした。だが、想い出が消えることは決してない。10数年が過ぎ去った今でも、「ポピー」と呼べば「ポッピー」という返事がどこからか、こだまのように返ってくるような気がしてならない。


容姿端麗な在りし日の姿を複写で、一枚パチリ。