0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

読みたいくせに、読み終わりたくない本。

一枚の風信子43

読書好きなぼくは、だいたい年間100冊くらいの本を読む。おもしろかった本にはランクをつけている。①一気に読んでしまう本②時間やまわりのことを忘れてしまう本③途中で読むのが惜しくなる本の3パターンがある。最高ランクは③で、7~8年に一度あるかないかというくらい珍しいことだ。この手の本は、もう読んでいる途中からため息が出てきて、「読みたいくせに、読み終わりたくない」という矛盾した願いと悪戦苦闘しなければならない。
チャールズ・ウィリアムズという人が書いた「絶海の訪問者」が、まさにそれ。
この1冊はすごい。登場人物は6人(3組の夫婦だけ)で、舞台は大洋上のヨット2隻のみというシンプルな設定。絶海の洋上に沈みゆくヨット、刻々と迫るタイムリミット、深まる謎と地獄の戦い。手に汗を握るストーリー展開、微に入り細を穿つ心理描写、圧倒的なスリルとサスペンス(陳腐な決まり文句ばかりで申し訳ない)!読者は、著者の稀有な筆力に脱帽せずにはいられないだろう。
「第三の男」や「市民ケーン」で名をはせたあのオーソン・ウェルズが、映画化権を取得。フランスの名優ジャンヌ・モローを起用し、自らも出演して製作に取り組んだのもうなづける話だ。主演俳優の死亡などで、映画が完成されなかったのがとても残念である。


「おもしろ過ぎて、ため息の出る本」を一枚パチリ。