すげなく捨てられれば、 ステッキだって泣くのです。
一枚の風信子16
70歳を過ぎて、腰の手術に向かう友。
その成功とリハビリの順調さを願って、ステッキを贈った。
願いは空しく、返ってきた。
彼は「不良品だ」と言う。
恐縮して受け取り、その日のうちに販売店へ。
店員は「大丈夫ですよ」と笑顔を見せながら、取り扱い法を説明してくれた。
帰宅したその足で、電話をかけた。
「この次行くときに持って行くよ」と。
「いらないよ、どうせ使わないから」との返事。
これで、何度の拒否・拒絶か。
どこかで、何かが切れた。
彼に、持って行くものがなくなった。
持って行くものは、なによりも気持ちだった。
行く先を失ったステッキが、泣いていると思った。
友にひと言「俺が、甘いのか」と、聞いてみたかった。
たかがステッキ、されどステッキの一枚をパチリ。
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。