一枚の風信子161

今年のおせちは、一人前多く作った。
87歳を迎えるおばあちゃんへの、感謝のテイクアウトだ。猫ボランティアとしては最高齢じゃないかと思える方で、たった一人で、18匹のノラちゃんの面倒を見ていられる。病気・ケガなどで外では生活できない3匹を家内に、残りの15匹は近くの公園で、毎日エサやりと寝床などのケアを欠かさない。わが家では一匹だけというのに、まったく頭の下がる思いだ。
腐りやすい生ものとクセのある酢のものを除いて、代わりに野菜を多めにした。特別なことはしていない。いつもの年と同じようなものを、少し余分にこしらえただけだ。それでも喜んでくれると、やはりうれしい。「きれいだから、一日目はずっと眺めていました。二日目から、おいしくいただきました」と言われると、お世辞半分としてもよかったなと思う。「料理がうまくないね」と面と向かって言われたことが一度あるので、なおさらである。いちばん困るのは、過分なお返しをいただくこと。浅草海苔とか、日高昆布とか、老舗のお菓子とか、高価なものを百貨店でわざわざ購入されるのだ。昔ながらの律儀なふるまいに恐縮して、何とか辞退しようとしても聞き入れてはもらえない。で、何のことはない。結局、不本意ながら「エビで鯛を釣る」ことになってしまう。

「おせち」一人前のテイクアウトを、一枚パチリ。