0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

古希のじいさんを夢中にさせる童話。

一枚の風信子158


正確には、児童文学と言うのだろう。
正月三が日を、おとそ気分で寝転がりながら読んだのが「秘密の花園」という本。児童文学史に残る傑作という触れ込み通りの面白い本だった。作者は「小公子」「小公女」で知られる、あのバーネット女史。この人の著作は、どれも臨場感が素晴らしい。読んでいると、主人公のいる舞台が頭の中にグーンと広がってきて、その場の雰囲気はもちろんのこと、かおりのようなものまで伝わってくるから不思議だ。特に、春を迎えていっせいに華開く秘密の花園の光景は、生きとし生けるものすべてを祝福する愛の讃歌に満ちあふれている。そして読者は、いつも主人公たちと一緒にいる気分になり、その行動を追体験することになる。この本には悪人は一人も出てこない。3人の子どもたちの機転と勇気が、あり得ないと思われた奇跡を生みだす。ただそれだけのことなのに、なぜか「やめられない、止まらない」のかっぱエビせん状態にされてしまう。作者の童心を慈しむ愛情が、全編に行き渡っているからかもしれない。いい大人が、私の場合で言うと、70歳にもなるいいじいさんが、ガンバレ、ガンバレと胸を熱くし、読みふけってしまうのだから。著者は、この本を62歳の時に書いたそうだ。ピーターパンのような人だと思った。


ハブシャムさん(小公子)みたいな狂言回しがいないのが珠にキズかなと、一枚パチリ。