0905ashiのブログ

毎回オリジナル写真を一枚掲載し、それにまつわる自分の思いやエピソードを書き記します。写真版絵日記のようなものです。

憧れの君から、 「ゲッタウェイ」した日。

一枚の風信子9




俳優の性格と監督の持ち味が一致すると、その特性がスクリーンに鮮明に現われることがある。主演 スティーブ・マックィーン、監督  サム・ペキンパーで制作された「ゲッタウェイ」がそれ。


銀行強盗をしたマッコイは、ギャングに渡すはずの金を持って逃走した。彼を追うギャングをかわしながら、マッコイは妻と共にメキシコをめざす……。スリリングなチェイスが全編に渡って展開するペキンパーの快作アクション。マックィーン、マッグローだけでなく、傍にいたるまで役者陣の個性が光る。特に、フェロモン撒き散らし状態の悪役A・レッティエリの存在感は驚異的。ラスト・シーンのサスペンスも、この手の映画を見慣れた人には嬉しい驚きである。<allcinema>


マックィーンお得意のハード・アクションが売りのハードボイルド映画である。確かに、スリルとサスペンスに満ちていて、すごくおもしろい。彼自身の要望で変更させたというハッピー・エンドを除けば、辛口の良質バーボンを味わっているようだ。「ネバダ・スミス」「ブリット」「華麗なる賭け」など、甘ったるいヒーローばかりを好んで(?)演じてきた彼の最高主演作だと思う。ただ、ペキンパーは並みの監督ではない。俳優の演技をそのままほっておかずに、その人間の素の部分までをさらけ出してしまったのだ。
「いくら恰好が良くたって、非情なヤツさ。それでもいいのかい」。
監督はこの映画の全編を通して、そう言っているように思われた。
主人公のマッコイに、マックィーンの実像が重なった。


「百年の想い」が冷めた映画のワンシーンを、一枚パチリ。