一枚の風信子143

庶民感覚からかけ離れたものは、家庭料理とは呼べない。料理研究家として知られ、料理学校も経営されている土井善春さんも、一般市民の家計にはうといようだ。彼は、東京新聞の日曜版に「料理は楽し」というコラムを連載されているが、つい最近「烏賊(イカ)大根」の作り方を紹介していた。あなた、今時のイカの値段・大根の値段知っているの?  イカは今年はメチャクチャに品不足で、たまにしか店先に出ない。見かけたとしても、小ぶりのものが一杯398円もするんですよ。安いときなら、100円もしないものが。大根だってここへきて下がってはきたけど、一本298円もしていたんだ。こんなもの家庭の献立にしたら、食費がいくらあっても足りはしない。
現在、財務大臣をされている麻生さんが総理をしていたときに、国会の答弁でカップヌードルの値段を「500円くらいですか？」と言って失笑を買ったけど、あなたの場合は食の専門家でしょ。日頃から、少しは食料(料理素材)の市場価格にも留意されたらどうですかね？ さもなければ、タイトルを「料理は楽し」じゃなくて「料理は高し」に変えたほうがいいね。「少しでも安いものを、おいしく食べさせてあげたい」－－ふつうの主婦は、いつもそう考えていますよ。

100g・98円の国産鶏肉と８個100円のジャガイモで作った「肉ジャガ」を、一枚パチリ。